「鉄道忌避伝説の謎---汽車が来た町、来なかった町」(青木栄一)
「恐竜ホネホネ学」(犬塚則久)

鉄道忌避伝説の謎―汽車が来た町、来なかった町 (歴史文化ライブラリー)
- 作者: 青木 栄一
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
「鉄道忌避伝説の謎」というわかったようなわからないようなタイトルであるが副題に「汽車が来た町、来なかった町」ということで明治時代、鉄道を招聘した町と、反対した町のことか、ぐらいは想像がつく。
鉄道が来るというのでニワトリが卵を産まなくなるとか、石炭の火が飛んで火事になるとか、陸蒸気はご免だというのが「鉄道忌避」だ。
それが多くは事実と相違し、単なる「伝承」でそのような反対行動は無くはないが喧伝されるほどなかったと、多くの事例をひいて論及されている。
その喧伝の土壌が小学生のときに教えられる郷土の歴史の時間で、駅が開かれなかったので衰微した町。われらが町は先見の明があり、招致したので発展したとさ、云々。
郷土史も似たようなものが多いと嘆く。
わが茨木市史もご他聞に漏れずニワトリの卵と火の粉家事による市街通過反対運動を載せてはいる。
しかし、筆者が言うように町の真ん中を通すよりも、線形的に合理的であれば平地、田畑を通すというから、田中のねじりまんぼも適切であったのだろう。
平易であり、あっという間に読めたし、郷土史家もきちんと伝聞でなく資料でもって実証すべしの説、ごもっともと思う。
が、その反面、社会的に必要な施設や設備がいるのはわかるが、我が家の隣に来たとき、反対の意思表示なり、反対の資料を作らない。だからと言って「忌避伝説」という想像上の「伝説」扱いは、少しキツイなという気がする。
そういう中で珍しく、「反対」と唱えたところに大阪府島上郡第一区桜井村があった。
京阪神間鉄道により農耕の通路、水路が塞がれ、水利が悪化するので「請願」したという事例として紹介されていた。
「12箇所あった農道が鉄道の敷設でたった3ヶ所を残して切断され、これで
「農業渡世相続難相成」(農業・とせい・相続・相なりがた)いので、もう1ヶ所増やしてほしい、という意味のことが述べられている」(P140)
反対というより要望書か。
もしかして、以前、友人と見に行った水路兼用のねじりまんぼ(2003/4/11)
あのねじりまんぼ。
こうした運動があったからなのかもしれない。
それで、できたんやろか?!